午前 9:30〜11:30
サルコペニア・介護予防に関わる評価方法
講師 西田裕介先生(国際医療福祉大学 成田保健医療学部 理学療法学科 学部長/学科長)
体力の概念のご講義から始まり、体力の指標の一つである筋肉量は60歳を過ぎると急激に低下すること、そして早速評価の一つである「5回椅子立ち上がりテスト」(1度目は普通に、2回目はカットオフ値(12秒)くらいのペースを意識しながら)を体験しました。
5回の立ち上がりを12秒で実施するには、若年者や体力・筋力のある者は動作スピードをコントロールしながら出来るが、そうでない高齢者はコントロール自体が難しく、立ち上がろうとしてもなかなか立ち上がれない、すぐに疲れてしまい、単純に筋肉量が落ちているだけではなく、身体機能を「使う」こと自体が難しい事に気付かされました。
その他、片脚立位(開眼)やバランステストなども体験しました。
また日本において介護が必要となる原因の第3位は高齢による衰弱(フレイル)。フレイルはサルコペニアのような身体的フレイル以外にも社会的フレイル、精神・心理的・認知的フレイルが絡み合い、「栄養」「運動」「社会参加」の3本柱を意識して取り組むことが重要であり、健康運動指導士、健康運動実践指導者は「運動」以外からのアプローチの必要性も感じました。
午後 12:30〜15:30
サルコペニアの原因と予防について
講師 安田智洋先生(聖隷クリストファー大学 看護学部 教授)
第一部と第二部に分けてご講義いただきました。
第一部は、「原因と予防」。
サルコペニアの位置付けや歴史、診断基準の変遷、原因・成因と2017年に発信された運動・栄養・薬物介入について詳しくお話されました。
特に、2025年のサルコペニアの診断基準に大きな変化があり、診断対象年齢が高齢者のみならず中年期(50〜64歳)まで拡大したことや、生涯を通じた「muscle health(筋の健康)の増進」へと焦点が拡大されました。
第二部は、「予防と改善」。
2025年に発表されたサルコペニアの予防・改善に対するガイドライン(運動・栄養介入など)や筋力トレーニングの種類別(高負荷方、加圧法、スロー法、低負荷大容量法)をエビデンスや実例を交えながら紹介していただきました。
高齢者にとっては不向きなものや研究報告が少ないものもあるので、今後の研究により期待が寄せられます。
最後に、最新のトピックスとして若年女性の痩せ問題についてのお話もありました。
BMIが低く痩せていても、メディアやファッションの影響などで「もっと痩せたい」と思っている女性が多いこと、痩せに伴う健康問題や低出生体重児を出産してしまう可能性、そして低出生体重児は高齢期にサルコペニアを発症するリスクが高いと予測されている、とのことでした。
サルコペニアは、以前は高齢者だけの問題だと認識しておりましたが、決してそうではなく、早い段階から様々な視点で予防や改善に取り組み、生涯を通じて意識するものと感じました。
副支部長:藤田朋子
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午前は谷本道哉先生(順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 先任准教授)による『ソーシャルディスタンス筋肉体操』の実技でした。
「自重負荷によるトレーニングで効果が出せるのか?」から始まり、科学的エビデンスを紹介いただきながら実際にスクワット・腕立て伏せを行いました。フルレンジで行うことや限界まで追い込むことで効果は十分に出せることを参加者は体感しました、谷本先生の「浅いスクワットは浅はかなスクワット」「そんなもんじゃない!」「まだいける!」「筋肉!」「筋肉!」と熱い言葉をかけていただきながらチャレンジしました。もちろん実施する上での安全への配慮や筋力の無い方に対するオプション動作も解説していただきました。
最後に「やりたいと思った時が一番やる気がある時」「自重負荷は直ぐにできる」と力強く語ってくださいました。
午後は石川泰弘先生(日本薬科大学医療ビジネス薬科学科スポーツ薬学コース 特任教授)による『エビデンスに基づいた最新のリカバリー 入浴・睡眠』の講義でした。
入浴による三大効果として@筋を緩め関節の負担軽減A血液の流れをよくするB自律神経への影響があり、身体の回復につながるとのことでした。また、湯の温度40度は目安であり「本人の気持ちよい温度」であることが大切なようです。
また、良質の睡眠をとるには、「睡眠環境」を整え、リズムを崩さないことが重要であり、体温をスムーズに下げることで上手く睡眠に入れるのだそうです。睡眠の量がパフォーマンスに与える影響も実証されており、日ごろから十分に睡眠をとることを大事にしてほしいとのことでした。
石川先生の講義では、オリンピックでの話や身近な話を交えながら、エビデンスに裏付けられた解説を楽しくそして解りやすくお話ししてくださいました。
参加者にとって充実した研習会になったのではないかと思います。 谷本道哉先生、石川泰弘先生、ありがとうございました。
所感
守田弥香
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午前10:00〜12:00
「健康運動指導士、健康運動実践指導者」のためのサプリメントの知識
講師 上東 悦子 先生(薬剤師・国立スポーツ科学センタースポーツクリニック)
講義の前半部分では世界におけるドーピングの状況やドーピングにおける悪影響について世界の情勢を踏まえながら詳しく紹介いただきました。ドーピングはアスリートだけでなくスポーツ愛好家や一般の人々にとっても大きな問題となりつつあることが挙げられた。
その後、サプリメントに関する様々な調査の中でアスリートのサプリメントの使用率は90%以上にものぼる事、さらに一般市民において50歳以上の人の約30%の人が何らかのサプリメントを毎日利用しているとの調査結果が報告された。そのうちの4%程度で健康被害も報告されており特に多いのはアレルギー、肝機能障害、胃腸障害が挙げられた。
一つの医薬品ができるまで10〜18年の期間を要するのに対して、サプリメントに関しては規制や検査項目などは緩く、その網の目をかいくぐり様々な製品が発売されている。
健康食品、サプリメントに関しての情報が氾濫しており消費者が正しい情報を得ることが難しい中で、運動指導者が正しい知識と情報を取捨選択し、利用者やクライアントに伝えて行く事の重要性が問われつつある事を感じた。
理事:熊谷麻友子
午後1:00〜4:00
筋肉痛とストレッチングの生理学−自律神経を鍛える−
講師 森谷敏夫先生(京都大学名誉教授 京都産業大学・中京大学客員教授)
冒頭、競泳に携わる指導者に先生からの質問。
「なぜ、競泳選手は筋トレをするんですか?」「『脚のパワーが付くと、キック力がアップする』とかじゃないですよ」という言葉になかなか答えられず・・・。
答えは生理学で考えてみると、筋トレをする事で心筋を強化・筋肉へグリコーゲンを貯蔵させる効果を期待するといった話からスタート。
一般的に言う筋肉痛とは遅発性筋肉痛(DOMS)であり、痛みを伴う主な原因は伸張性収縮であり短縮性収縮では生じない。
痛みを感じるのは運動神経の過剰反応であり、ストレッチング(静的ストレッチ)は運動神経を抑制させるので、筋肉痛にはストレッチングは有効と言えるとの事でした。
後半は、自律神経についてお話頂きました。
一般的に、交感神経と副交感神経のバランスが重要とされていますが、「バランスは大事だけど、そもそも自律神経のパワーが重要」という事でした。
体重の調節において自律神経の役割は重要で、正常に働いていると300Kcal余分に消費するそうです。
今回の内容では、γ運動ニューロン・ゴルジ腱器官・PGC‐1α・白色脂肪細胞・褐色脂肪細胞・アリシンがキーワードになりました。
理事:大塚敬幸
過日、(平成30年4月22日)千葉県立文化会館 聖賢堂にて『平成29年度年度(第21回)定期会員総会』を開催致しました。
本総会は、支部会則第15条第5項の(有効投票数:会員1/3以上)を満たす出席者(委任状含む)により充分な審議の上、満場一致にて全案件が承認・可決されましたことをご報告申し上げます。
詳しい内容に関しましては5月以降に事務局より郵送にて各会員に送付させていただきましたのでご確認ください。
午前 10:00〜12:00
運動指導士の為のストレス・チェックとリラクセーション
講師:元吉正幸(千葉県支部長)
ストレス社会となっている現在、ストレス管理について健康運動指導士にも必要になってきました。
まずは、コーチング技法・精神療法の一つである「オープンダイアローグ」でのグループワークを実施。
@話す人A聞く人B見るだけの人と別れて、議題に対して行いました。
「オープンダイアローグ」はフィンランド発祥の精神療法で“開かれた対話”による治療法で、総合失調症やうつ病にも活用されています。
この方法は通常のカウンセリングよりも責任を分担出来るので、カウンセラーの燃え尽き症候群を軽減する事が期待できます。クリニックやフィットネスクラブなどチームで取り組む物事に効果を発揮出来そうです。
また、「交流分析」についての解説も話に出てきました。「交流分析」は心理療法の一つで、構造分析・交流パターン分析・ゲーム分析・脚本分析といった4つの方法があり、講師は「オープンダイアローグ」と「交流分析」を上手に掛け合わせてカウンセリングを行っているとの事。
最後にリラクセーションの方法として、臨床動作法の「漸進的筋弛緩法」を参加者全員で実施しました。
午後1:30〜4:30
健康運動指導士のための解剖学、病理学 姿勢と内臓の相関について
講師:河野俊彦(亀田医療大学講師)
運動指導者は、骨と筋肉だけでなく、内臓も絡めて考えていく必要があります。
身体を支える柱となるのが脊椎ですが、脊椎は骨盤という玉の上に、玉乗りをしている状態と言えます。
なので、いくら上半身を強化したり整えても、骨盤の安定が無ければ姿勢は崩れてしまいます。まずは、骨盤の安定が重要です。
そして骨盤に関連する部分で、腸腰筋と大臀筋についての話がありました。
腸腰筋を構成するのは腸骨筋・大腰筋・小腰筋ですが、小腰筋は日本人は3割程の人しか発達していないのに対して、ヨーロッパ人は8割程の人が発達しているそうです。
人間に近いとされるサルは大臀筋が発達していないそうで、動物が直立するには大臀筋が大変重要であると言えます。しかし、現代人は車の運転やデスクワークなどで座っている事が多いので、大臀筋の筋力低下が進み不良姿勢の方が多くなってきています。
肝腎要・肝心要、心腎一体といわれ内臓でも重要な器官である腎臓は、働きが悪くなると血圧を上げて血流を無理やり良くさせますが、血中にコレステロールが沈着していたりすると血管を詰まらせたり破裂させてしまう可能性があります。なので、腎臓の働きが悪くならないように、一番動きが小さい第1腰椎に位置しているそうです。
更に分泌系の話になり、しっかり咀嚼する事で「何が体内に入ってくるのか?」を判断して適切な消化の準備を進めるので、噛まずに食べるのは消化不良の原因になるので気を付けるようにとの事でした。
最後に、先生の書籍に載っている股関節体操の方法についてレクチャー頂きました。
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